導入事例

ロゴ:JINS

ジンズホールディングス「JINS」

ロイヤル化を促進するための打ち手が見えた

ジンズホールディングスの経営企画部では、勢いよく出店を続けて成長してきたフェーズを超え、一人ひとりの顧客とより深くつながる中長期的な事業成長を見据えて「9segs®」を導入。企業価値の向上に結びつく重要指標として、NPI*(次回購買意向)を活用し始めています。営業部門とタッグを組んでプロジェクトを進めた澤田栄一様、長島弘幸様に、お話をうかがいました。
*NPI: ブランドの「次回購買意向」を指す、9segs®の主要KPI。売上に強い相関がある。

株式会社ジンズホールディングス 経営ブランド戦略本部 グローバル事業戦略室/株式会社ジンズ コミュニケーション本部 デジタルプロモーション室 澤田栄一様
株式会社ジンズホールディングス 経営ブランド戦略本部 グローバル事業戦略室 長島弘幸様
※所属・役職は取材当時のもの

BACKGROUND
デザイン性と手ごろな価格帯で顧客層を広げてきた「JINS」

澤田様アイウエアブランド「JINS」は、デザイン性と手ごろな価格帯を両立し、幅広い顧客層に支持いただいています。現在は全国462店舗(2022年4月)、海外を含めると700店を超える店舗を構えています。近年では、ウエアラブルデバイス「JINS MEME」なども手掛けています。

ISSUE
効率重視の拡大に限界、売上と相関のある指標が必要だった

澤田様これまで勢力的な出店で事業を伸ばしてきましたが、人口減少の時代において、効率重視の拡大路線だけでは限界だという危機感がありました。過去の自分の経験からも、単に売上だけを追っている組織はもろいという肌感覚があり、今後は売上に連動しながら、中長期的に企業価値を高めていける重要指標が必要だと感じていたんです。顧客にひもづいた指標をKPIとすることで、もっと一人ひとりの顧客に寄り添った事業運営ができるようになり、競争優位性も生まれるだろうと考えていました。

また、これは当社に限らず多くの日本企業が陥っているのではないかと思いますが、どうしても手法=HOWから考えてしまいがちです。そうではなく、手法の前に「誰に・何を提供するのか」のWHOとWHATを考えなければ。WHOから考えていくのが当たり前のカルチャーを育てたいと思っていました。

「9segs®」は西口さんの書籍で以前から知っていましたが、2021年3月にM-Forceで「NPIは売上と強い相関がある」と発表されたのを見て(https://mforce.jp/news/677.html)、体系的に取り組もうとすぐ決意しました。

FINDINGS
1)ライトユーザーへのアプローチがロイヤル化にも貢献する

澤田様今回の9segs®導入プロジェクトは経営企画部を中心に、店舗とECそれぞれの売上責任者、そして両チャネルを統轄する営業全体の責任者と連携して進めました。

9segs®を導入して、これまでの事業仮説や成長仮説が本当に顧客に効いているか、答え合わせができるようになりました。また、我々がデータを持っていない「まだ顧客になっていない方」、未認知顧客や認知未購買顧客も含めて市場全体の顧客分布がわかり、顧客解像度が高まりました。併せて競合の9segs®も可視化することで、業界全体の構造も把握できるようになったことも大きな利点でした。

たとえば、NPIのあるロイヤル顧客を増やすことは当社の課題のひとつでしたが、顧客分布から、その層が当社に限らず業界各社で想定以上に少ないことがわかりました。つまり、まだブランドで差別化しきれていない業界だったのです。

一方で、9segs®では認知未購買顧客や一般顧客、つまりノンユーザーやライトユーザーの割合が思った以上に多く、むしろここに未着手の機会があるように感じました。浸透率が高いほど購入頻度も上がるという「ダブルジョパティの法則」が、我々の事業に当てはまるとは思っていなかったのですが、購買頻度の向上を図りながらNPIも高めていくことが、結果としてロイヤル化も促進するのではないかと分析できました。

2)NPIの向上には、店舗の近さ以外の「選ばれる理由」が必要

長島様ロイヤル化に関しては、競合の顧客分布を併せて確認することで、当社を含めたアイウエア業界としての特徴が改めて見えてきました。それはお客様の多くが立地の良さでお店を選んでいるという点です。つまり競合がより近くに店舗を出せば、急に顧客が離反してしまうリスクもある。そのためしっかりと顧客に寄り添った体験やサービス設計に注力することで、「アクセスの良さ」という強み以外にも「選んでいただける理由」を確立する必要があることがわかりました。この点は、9segs®を通してとても大きな気付きだったと思います。

ACTION
皆が潜在的に求めていた「共通基盤」の確立へ

澤田様プロジェクト推進時からなるべく社内に情報を共有していたので、興味を持って質問を寄せる人もいました。皆が思った以上に積極的なのは、やはりこれまで「顧客の状況や動きを知りたいがつかめない」というもどかしさがあったのだと思います。今はまさに、商品開発や販促の部門などでも活用できるよう、9segs®を紹介する場を繰り返し設けています。

9segs®を現場で共有することで、日々の施策が中長期にも効果があるのかを検証できます。現場は短期的な施策の結果を追いかけていますが、その積み重ねが半年後、1年後に成果としてしっかり表れているかは確かめられていませんでした。9segs®を、部署をまたいだ社内の「共通基盤」として確立することで、中長期の視点を養えると思います。9segs®と日々の施策の結果を確認する調査などを、並行して使っていくのが理想です。

一方で経営層にも浸透しつつあり、中期経営計画の議論に9segs®の話が出てきているようです。経営から現場まで、WHOから考えることを根付かせていきたいです。

長島様9segs®は導入前から社内の注目が高かったのですが、「何ができるのか」「何のためのフレームワークか」がまだ十分理解されていない中、期待値だけが上がってしまっている状態でした。ここからはしっかりと9segs®の役割を明確にして社内展開し、認識のズレを解消しながら、9segs®の運用に注力していきます。

これまでは部門ごとに異なる指標を追いかけていることもあり、足並みをそろえるのが難しいところがありました。今後は部門を超えた共通指標としてNPIを据え、社内の目線合わせにも活用できればと思います。

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ジンズホールディングス「JINS」
https://www.jins.com.jp/

事業成長をもたらす
顧客起点のPDCA基盤を。