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BACKGROUND
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企業ブランド「EMIAL」のもとに多数の人気商品を提供
北中様当社は1998年に創業以来、さまざまなスイーツやチルド飲料商品を企画・開発し、各種スーパーやコンビニエンスストア(以下、CVS)を介して販売してきました。
現在は、複数の商品を束ねる企業ブランド「EMIAL(エミアル)」を通して、お客様に笑顔と感動をお届けすることを大きな目標に掲げています。一貫して、長く支持されるものづくりで成長を続けてきました。 -
ISSUE
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ものづくりに自負がある分、顧客の姿がつかめていなかった
北中様9segs®︎を導入したきっかけは、約30年にわたって右肩上がりだった売上が、2020年ごろから鈍化してきたことでした。過去の好業績が、2010年代のタピオカブームでさらに伸びたものの、ブームの下火とコロナ禍が重なって急に頭打ちになってしまったのです。
もともと当社は品質にこだわった商品群で伸びてきたので、良くも悪くもものづくりに集中してきました。 それ故に顧客調査等に重きを置いておりませんでした。その中で急に売上鈍化に直面し、何かを変えなければという不安が社内に広がったものの、ずっと商品が軸だったので、何を変えていいのかがつかめませんでした。
振り返ると、常に”商品”が主語になっていて、具体的にどのようなお客様に何が支持されているのかに気を配れていなかったのです。小売店を介した商品販売だと、顧客の姿はどうしても見えづらいですが、それこそ考え直すべき点ではと考えるようになりました。その矢先に9segs®︎を知り、M-Forceのセミナーを受けて導入に至りました。
顧客を認知~購入頻度の行動ファネル軸と、NPI(次回購入意向)という心理軸の2軸で分類する9segs®︎の考え方は、とても理解しやすかったです。これなら我々がやりたい、「顧客の解像度をより上げる」ことを実現できると思いました。
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FINDINGS
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1)売上回復の戦略が見え、施策につながった
佐藤様2023年の春に導入を決めて、夏に9segs®︎調査を実施しました。「TAPIOCA TIME」のカテゴリであるチルド飲料のユーザーを対象に、まずカテゴリ全体の顧客像やニーズを捉え、その上で当社商品の立ち位置を明らかにしたいと考えました。
結果の分析からは、当初想定していたユーザーと実際のユーザーとで一部ズレがあることがわかりました。また、以前から当社のロイヤル顧客の方々はかなり熱量が高いと感じていましたが、実際にロイヤル顧客と一般顧客で温度差があることも確かめられました。
北中様全体を捉えた上で、ロイヤル顧客との比較で離反顧客に関する課題と打ち手も浮かび上がったことも、成果のひとつです。ロイヤル顧客が感じている価値が、離反した方々には伝わりきっていないことが見えてきましたし、離反理由として考えられるような「誤解されているイメージ」も確認できました。いずれも適切に伝わるように改善に着手しています。
2)9segs® analyzerでカテゴリ全体を分析、顧客戦略だけでなく、流通に対する提案も具体化
北中様9segs® analyzerは直感的に顧客分析を行えるので、現場担当者が取っつきやすく、議論して仮説を立てて確認してみるという行き来がスムーズでした。会議室の大きなモニターに映して、その場で操作しながら議論していましたが、客観的な数値で顧客を把握できるので、複数人で話しても「たしかにそうだね」と皆が納得しやすかったです。
また、9segs® analyzerは各顧客への戦略を策定できるだけでなく、顧客データからいろいろな切り口でカテゴリ全体を理解できるので、販売チャネルのお得意先様に対して、単なる商品軸ではなく「顧客」を軸にした提案ができるようになったことも大きな収穫です。
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ACTION
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顧客理解から施策へ、さらに組織文化の変革へ
北中様売上鈍化に悩んでも、支持されている部分は変えずに維持すべきです。それが何なのかが、一連の取り組みで明らかになり、逆に支持要因以外は、売上回復のために迷わず改善に踏み切れるようになりました。
お客様がどうなのか、という考え方自体、”顧客”を主語にすることです。今回の取り組みで、そのような製品開発ができつつあります。
また、今回は実際の分析は企画課が中心に進めましたが、どのように顧客を理解するべきかという調査設計の部分は、企画課だけでなく開発や営業も交えて行いました。導入開始時に社内の関係部署と連携できたことは、その後の結果の理解だけでなく、考え方を変えていく一助にもなっていると感じています。
佐藤様開発の部署とは、同じ顧客像を見つめながら動けるようになってきた実感がありますね。9segs®調査や分析結果は「すごく刺激になった」と話しています。今後の課題としては、営業にも顧客起点の考え方を浸透させていきます。
今回、M-Forceのトレーニングや調査設計のサポートを受けて、そこで学んだことを着実に反映できたことも、成果が得られた一因かと思っています。その点では、人材育成にもつながりました。
9segs®を導入して1年、どうすれば顧客を理解し、ニーズに応えて事業成長に結び付けられるかが分かってきたので、早々にもっと自走できるようになると思います。2年目も継続して取り組み、次に実行する施策の効果をトラッキングして、PDCAを回していきます。
競争が激しい市場とはいえ、顧客起点を徹底していけば、まだまだ伸びる余地があると感じます。既存顧客への価値提供を維持しながら、新しい顧客のWHOとWHATを探し、同時に全社的に顧客起点のものづくりができるよう努めていきます。
導入事例
安曇野食品工房株式会社
顧客の解像度が向上、成長の方向性と施策案を見いだせた
「SWEET CAFÉ 珈琲ゼリー」や「TAPIOCA
TIME タピオカミルクティー」などのロングセラー商品を多数擁する安曇野食品工房。2023年に「9segs®︎」を導入し、実際の顧客を様々な観点から分析したことから、メッセージやパッケージなど打ち手の改善を進め、さらに小売店への提案に至るまで「顧客起点マーケティング」を具体的な施策へと落とし込まれています。商品企画開発部・部長の佐藤尚徳様と、企画課・課長の北中崇裕様にお話を伺いました。
安曇野食品工房株式会社 商品企画開発部 部長 佐藤尚徳様
同部 企画課 課長 北中崇裕様
※所属・役職は取材当時のもの