導入事例

ロゴ:auじぶん銀行

ネット銀行「auじぶん銀行」

「9segs®」を通してプロダクト起点から顧客起点へ

ネット銀行「auじぶん銀行」は、2021年の夏に「9segs®」の顧客分析に着手。背景にあったのは、部署間で思い描く顧客像が異なっており、結果としてプロダクトありきの個別最適アプローチになっていたことでした。マーケティング戦略本部長の井上直樹様、CX企画推進部長の清水健太様に、顧客起点の組織へ変わりつつある途上をうかがいました。

auじぶん銀行株式会社 マーケティング戦略本部長 井上直樹様
auじぶん銀行株式会社 CX企画推進部長 清水健太様

※所属・役職は取材当時のもの

BACKGROUND
さまざまな特典があるネット銀行

清水様「auじぶん銀行」は、KDDI株式会社と三菱UFJ銀行の共同出資により2008年に設立しました。アプリの使いやすさや、ネット銀行ならではの利便性が特徴です。auユーザーでなくても利用でき、Pontaポイントがたまる、預金やローンの金利優遇があるなど複数の特典があります。

ISSUE
顧客起点ではなくプロダクト起点になっていた

井上様近年、当行では「本当に顧客志向になっているか」が課題になっていました。獲得したい顧客像が部署や担当者ごとにバラバラで、auじぶん銀行として統一した回答がなかったんです。結果として、商品設計もコミュニケーションも企業の目線で考えがちで、プロダクト起点の活動になっていました。

そんな折に「9segs®」を知り、当行の課題解決に最適ではないかと思いました。経営陣も、顧客像の統一は急務だと認識していたので、導入の意志決定は早かったです。
実際の顧客像を正しく把握して共有すれば、扱うプロダクトが違っても、同じ意識で顧客に向き合えます。かつ、カスタマーサポートやコーポレート系のメンバーにも、前線の各部署が一体になっていることが伝わります。そうすれば、本当に顧客の目線で商品やコミュニケーションを構築でき、顧客起点の事業推進が根付くと考えました。

FINDINGS
1)9segs®の分析で見つかった認識のズレ

清水様9segs®のアプローチに沿って、まだ当行を利用いただいていない方も含めて顧客分析を実施し、その心理を深掘りしていくと、当行が考えていた顧客像と実際の顧客がかなり異なっていることがわかりました。

我々が訴求したいことと、顧客が求めている情報の間にズレが生じていたのです。例えば、顧客のメリットとして細かく記載していたプロダクトの特長が、まったく伝わっていない、関心を持たれていない、などですね。細かい情報より、むしろ当行全体としての利便性や安心感を理解いただけると、口座開設につながることがつかめました。

既存顧客だけではなく、潜在顧客も含めて一気通貫で顧客の状況を見通したことがなかったので、何が奏功して口座を開設し、継続利用につながっているかを洞察できたのは新しかったと思います。以前から、口座開設に漕ぎつけても離反が多いという肌感はあったのですが、これも実測値として合っていることが確かめられました。

また、競合比較ができたことも大きかったです。客観的に競合の顧客の状況をつかめる分析というのは初めてのアプローチで、多くの示唆を得られました。競合分析の結果、他行より我々が優れている点、逆に我々が及んでいない点などを掘り下げることができました。

井上様以前の調査はプロダクトありきで、「このプロダクトが響くか、どう受け入れられるか」を聞くことが多く、まさに企業目線でした。そもそも今どういった顧客に使われていて、その方々にはどんなインサイトがあるのかを把握していく9segs®のプロセスは新鮮でした。この一連を経験したことで、我々の顧客への向き合い方が変わったと思います。

2)顧客起点の仕組みの導入で、組織全体に変化の兆し

清水様実は、9segs®の導入自体、部門横断のプロジェクトチームをつくって推進したんです。CX企画推進部が旗振り役になり、顧客接点にかかわりがある複数部署に声掛けしてメンバーを集めました。

9segs®の一連の分析を間接的に聴くのではなく、当事者として「本当の顧客の姿」を一緒に知っていけたことが、今まさに組織全体が顧客起点へと変わろうとしている力になっています。以前はCX企画推進部が理想論を話しているように受け止められることもありましたが、今後は9segs®をベースにした「顧客の行動や心理に基づく提案」として、建設的に議論できそうです。

井上様9segs®を定期的に追うことで、ターゲット全体の顧客の動きがわかります。今まで、何が顧客に響くのか、皆が手探りだった部分もありましたが、今後は共通の顧客理解を基に迷わず進めると思います。分析結果は代理店とも共有し、広告などのアウトプットにも生かしていきます。

ACTION
9segs®による顧客理解が中期経営計画の基盤に

井上様中期経営計画においても、特にどのような顧客に当行を知っていただき、興味を持って口座を開設し、末永くお付き合いいただくかという一連の流れを描き出そうとしています。それを当行全体で共有する軸として、今後は経営および各部署と横連携していきます。

その上で、例えば「未認知から認知の段階にはどういった訴求が有効か」などを深掘りしていくと、顧客から見て一貫したコミュニケーションを実践できると思います。結果、9segs®のより上位セグメントへ、積極ロイヤル顧客に近づく方へスムーズに移行していただけると期待しています。

金融商品はすぐに結果が出るものではなく、半年単位などの分析になりそうですが、やはり「データに基づく判断」はとても大事です。複雑さがなく、数字に明るくない部署でもわかる9segs®のアプローチは、当行のアクション促進の力にもなると思います。

清水様プロジェクトにかかわったメンバーが各部署に戻ると、そこには変わらず部署の目標があるわけですが、戦略立案時や軌道修正の際などに9segs®のアプローチに立ち返ることで、顧客起点の姿勢が根付きつつあると感じています。日々の業務に関しても、各部の部長同士が共通の顧客像を見ているので、それを基盤に施策を検討していけるようになっています。9segs®に部門横断で取り組めたことの大きなプラスですね。

今回、「次回利用意向(次に使いたいか)」という軸を加えた顧客分析を通して、これまで我々がプロダクト起点で考えた施策の多くが、顧客が価値を感じることとズレていたと実感しました。なので、現在、顧客起点で本当に求められる価値を提供し、末永く利用してもらえる銀行に進化できるよう、一つずつ施策の見直しを進めています。

井上 直樹 auじぶん銀行株式会社 マーケティング戦略本部長

井上 直樹様

清水 健太 auじぶん銀行株式会社 CX企画推進部長

清水 健太様

※ 所属・役職は取材当時のもの

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ネット銀行「auじぶん銀行」
https://www.jibunbank.co.jp/

事業成長をもたらす
顧客起点のPDCA基盤を。