導入事例

ロゴ:株式会社AbemaTV

株式会社AbemaTV

顧客に基づく指標をKPIにし、9segs® analyzerで顧客理解を促進

株式会社AbemaTVでは、動画配信サービス「ABEMA」事業に2020年から「9segs®」を導入。スピード感をもって事業を進める文化がある同社で、客観的な指標として9segs®の分析メソッドを用いた結果、肌感で捉えていたことを数値化でき、顧客起点に基づいたサービス運営を実現しています。ABEMAマーケティング戦略室の飯島徹子様に、導入前後の経緯や現状について伺いました。

株式会社AbemaTV ABEMAマーケティング戦略室 飯島徹子様

※ 所属は取材当時のもの

BACKGROUND
約25ものチャンネルを提供する「ABEMA」

‟新しい未来のテレビ”として運営する「ABEMA」は、現在およそ2,000万WAU(Weekly Active User)に上る動画配信サービスです。24時間365日放送しているニュース番組や、スポーツ、アニメや、オリジナルのバラエティ番組や恋愛番組、ドラマ、また麻雀や将棋など趣味系を含めて約25チャンネルを提供しています。

ISSUE
客観的で再現性のある指標に欠けていた

当社にはもともと、思考しながらスピード感を持って事業を推進していく文化があります。客観的なデータの収集に時間をかけてプロジェクトを進行するというより、トレンドを捉えながらアイディアをベースに物事をスタートさせ、実行力を持って推進し、実績を積み上げながらチューニングしていくスタイルで事業を成長させてきました。

この文化は当社の強みである反面、戦略の精度が属人的になる部分もあり、その人の“センス”の再現性に乏しいことが課題でした。自分たちには戦略に確信があっても、第三者視点で「顧客起点のファクトの正確性」をつかめておらず、進もうとする方向が顧客が望むことかどうかは事前に確かめられていませんでした。

そんな折、ABEMA事業の当時の担当役員が西口さんの書籍『顧客起点マーケティング』を読み、「9segs®」という客観的な分析メソッドが当時のABEMAに必要だと感じたことから、2020年に導入することになりました。

FINDINGS
1)「顧客起点」が共通認識に

振り返ると、当社には顧客を起点にする考え方はあったものの、第三者的に市場動向に確信を持つフレームはありませんでした。9segs®を使い始めて、社内の意見や感じたことだけではなく、調査データを通して「顧客の意見」を把握することでプロジェクトの仮説を確かめられるようになり、チームで共通認識を合わせやすくなりました。

9segs®の結果やN1インタビューの意見を皆で確認すると、感覚的に捉えていたことを「改めて言葉にするとこうだよね」と気付くことが多かったです。社員はそれぞれの立場によって、顧客との距離が違いますが、皆が共通認識を持つ助けになりました。

また、導入当初は、社内の仮説を客観的に確かめられたという点でとても参考になりました。現場の社員は視聴者に対峙することが多く、顧客に対する肌感が特定の領域に偏ることもありましたが、その感覚的な部分が「ABEMA全体・ジャンル」など、ある程度大きな括りで数値化や言語化されていきました。自分たちの直感を確かめる方法として「顧客が実際にこういう状態や気持ちなのだ」と可視化されたことも、経営層の強い関心を引きました。肌感が正しかったと納得した部分もあれば、思ったより実態を過信していたり、逆にもっと自信を持っていい部分があったりもして、そうした実感を経営層と現場が共有できたことも利点でした。

初回の9segs®で具体的な課題を複数つかめたので、そこから半年ほど、複数のお題としてプロジェクトを組成し、解決に向けて進めていきました。例えば、あるジャンルではTAM(Total Available Market)が取り切れていないからまだ伸ばせそう、取れているジャンルは引き続きキープしようなど、現状を詳細に把握できたことで、次に取り組むべきことが明確になりました。

2)9segs®analyzerなら、他社サービスの詳しい顧客分析もできる

9segs®を導入してしばらくして9segs® analyzerがリリースされたので、今は主に現場で使っています。社内ではBIツールとしてTableau(タブロー)を使用しているのですが、9segs® analyzerはビジュアルも含めて、直感的に使えるように設計されていると感じます。

私の部署は、番組担当者やその他さまざまな部署から相談を受けるのですが、これまで不透明だった市場視聴状況(社内データだけでなく、市場における特定ジャンルのデータ)などが9segs® analyzerで分かるようになったので、相談への打ち返しがクリアになっています。

9segs®analyzerは、顧客にまつわるちょっとした調べものにも便利です。例えば、ABEMA以外の動画サービスの9segs®も分析しているので、「サービスAを見ているがABEMAは見ていない人でドラマ好きの人はどれくらいいるんだろう」「サービスBもABEMAも両方ヘビーに使っている人はどんなジャンルが好きなんだろう」といったテーマで調査データとして活用しています。社内では、各スペシャリストが他にも多くのツールを駆使していますが、他社サービスとの比較分析をするには、9segs® analyzerはとても使いやすいです。他社サービスの詳しい顧客分析の情報は、世の中に出ている記事ではヒットしませんし、これは9segs® analyzerならではだと思います。

ACTION
9segs®の中心指標・NPI(次回購入意向)を「ヘルスチェック指標」に

今は半年から1年に一度、9segs®の定点調査をしています。顧客データを通して現状のプロダクトの課題も分かるので、改善につながっています。9segs®analyzerで過去のデータとの比較もすぐできて、自社と他社サービスの顧客セグメントの中長期的な変遷が分かるので重宝しています。

また、今ではNPIをヘルスチェック指標としています。NPIやu-NPI(顧客内次回購入意向)を軸に分析し、実行した戦略の効果検証を通してPDCAを回して、アクションのチューニングを行っています。

例えば、前回のデータで「u-NPI×競合他社×UI/UX評価」(競合他社の既存顧客においてプロダクトのUI/UXがどのくらい評価されているか)を出したところ、ABEMAのUIUX領域で改善点が挙がりました。UI/UXは、開発力で(内容次第では)短期的に改善することもできる領域です。そこで、クリエイティブの責任者と共にu-NPIを中長期的に向上させる改善計画を立てて、定点的に指標を追いながら日々の改善に取り組んでいます。

今後も、9segs®で分かる顧客指標を定期的に追いかけて、さまざまな角度から顧客理解を深められればと思います。引き続き、お客様の気持ちを大切にしつつ、持続的な事業運営を目指していきます。

株式会社AbemaTV
https://abematv.co.jp/

事業成長をもたらす
顧客起点のPDCA基盤を。