事例紹介

ファミリーマート「ファミペイ」

「9segs」の競合分析はパワフル。競合優位性の高いビジネスアイデアが明確に。

2019年7月にローンチした「ファミペイ」は、リリース1カ月で300万ダウンロードを突破。ペイサービスが乱立する中、改めて自社の価値を見極め、次の一手を探るために10月より「9segs」を導入。調査からビジネスアイデアを見出し、現状と目的とのギャップを埋める施策に転換して実践している。「9segs」導入の経緯と手応えを、ファミリーマート「ファミペイ」担当部署にうかがった。

何を打ち出すべきか、自社ならではの価値を確かめたい

――まず、「ファミペイ」開発の経緯を教えてください。

当社では2018年秋にデジタル戦略室を立ち上げ(※現・金融・デジタル推進部)、お客様とのデジタル接点として「ファミペイ」を企画・推進しました。ポイント、ペイ、クーポンという3つの機能を併せ持つファミペイは、お客様と密にコミュニケーションを図ってさまざまな価値をご提供しながら、この先に長く続く顧客基盤を築いていくことが目的です。次々とペイサービスが世に出ていく中でスピードを最優先し、開発開始から8カ月後の2019年7月にリリースに漕ぎ付けました。

――「9segs」導入前の状況をうかがえますか?

ファミペイに「9segs」を導入したのは、リリースから3カ月ほど経ったころです。スピード重視で進めたので、リリース前に十分な顧客調査はできていませんでした。一定量のマス広告を投下し、PRも奏功して1カ月で300万ダウンロードを達成できましたが、初動が落ち着いた時点で「競合サービスの中で今どのようなポジションにいるのか」「そもそも世の中の何人くらいに認知されているのか」「ファミペイだからこそ提供できる価値は何なのか」などを確かめることが次の課題として見えていました。

そこで、このタイミングで「9segs」を導入しました。サービスの対象顧客全体を捉え、9つのセグメントの実数を把握してその推移を定点観測していく「9segs」は、前述の知りたいことがつかめると考えたからです。次の打ち手の示唆を得られる、コンセプトテスト(※)も有益ではないか、と感じていました。

※コンセプトテスト:「9segs」運用におけるひとつの手法。施策実施前に、複数のコンセプトを9segs調査にかけることでビジネスポテンシャルを確かめることができる。

定量的な顧客分析は、チームを動かす指標になる

――導入の決め手となったのは、どのような点ですか?

さまざまな顧客分析のフレームワークには、目新しさを求めてひねったものも多いですが、書籍(『顧客起点マーケティング』)を読んだ際、「認知とロイヤルティでみる」という顧客分析にはむしろ“原点に戻る”重要性があると再確認しました。それをここまで綿密にやり尽くすと、こんなに骨太な結果をもたらすのだということは大きな発見でした。

いちばんの決め手となったのは、やはり定量的に可視化できる点です。マーケティングは人によって定義が違いますし、あいまいにされがちな部分もありますが、やはり感覚値だけで進めると大きなリスクが伴います。特にビジネスをスケールさせていく際は、定量のものさしが必要です。それに合致したのが、「9segs」でした。特に自社の状況だけでなく、競合の状況も同時に分析して比較できるのは非常にパワフルです。

また、定量的にわかるということは、他部門を含めたチーム運営や、経営陣への説明責任を果たすことに直結します。現在進行形ではありますが、部内はもちろん、他部門へも「9segs」のモデルと結果を共通言語として説明し、打ち手の理解に役立っています。

――「9segs」運用の経緯と、その分析に基づく施策について教えてください。

10月に最初の顧客調査を実施し、ベースとなる9セグメントの顧客構造“WHO”を把握しました。それを基にしたM-Force社の顧客分析の結果、どの方向性の便益で勝負すべきかが明確になりました。

元々、そこで示唆された方向性は今後に注力する有力候補としていましたが、定量的な調査をすることでその考えが確実なものとできたので、今これを我々の強みとして打ち出しています。その後、12月と今年1月にも定点調査を行っており、継続して施策の効果測定をしていきました。

「伝えるべき真の価値」に確信が得られた

――現在の手応えをうかがえますか?

顧客が本当に求めていることは何なのか、コンセプトテストを通して把握できたことで、ファミペイが粘り強く伝えていくべき“WHAT”がつかめたことは大きいです。ビジネスアイデアを施策に転換してすぐには成果が出なくても、元のアイデアが間違っていなければ、ピボットしてしまうと逆に機会を逃します。“WHAT”は間違っていないという確信が「9segs」でわかっているので、期待した成果が出なかったら“HOW”の問題だと判断でき、次の打ち手をどうすべきか、社内への説明と理解もスムーズです。

また、M-Force社と顧客分析に取り組んだことで、調査設計の精度が極めて重要なのだとよくわかりました。顧客アンケートはどの企業でも実施されているでしょうが、その設計と読み解きにこそ、経験に裏打ちされた手腕が必要です。

誤った調査を基に戦略を検討しても、それはメーターが壊れた車を運転するようなものです。正しい調査は、すべての出発点なのだと実感しました。

――「9segs」の運用は、組織への影響という観点ではどうお考えですか?

部の内外に「顧客を定量化して可視化する」「顧客調査に基づいて戦略を考える」という概念が浸透することで、企業自体が真のマーケティング体質へ変わっていけるのではないでしょうか。「9segs」を定量のものさしとして、その考え方を共通言語にすることで、確実なビジネス成果の獲得だけでなく企業のマーケティング力の向上も目指したいと考えています。

ペイサービスが多いとはいえ、コンビニ店頭ではまだ現金を使っている方が圧倒的多数です。2020年2月、ファミペイは500万ダウンロードを達成しましたが、ファミリーマートのお客様のボリュームを考えると2000万、3000万の大台を十分目指せるはずなので、機能やサービスの充実とデジタル組織の成熟の両輪を図っていきます。

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